公務員の仕事の話〜積算〜

今回は公務員の仕事の話についてお伝えします。

私は土木系の技官として採用されましたが、土木系公務員のメイン業務のひとつに「積算」というものがあります。

役所は色々と発注します。

主なものとしては

○橋や護岸等構造物の建設・補修を施工業者にやってもらう「工事」

○設計、地質調査、測量などをコンサルにやってもらう「業務」

○物品の調達や処分、庁舎設備の補修など細々したことをやってもらう「役務」

でしょうか。

これらを委託する場合、当然お金が必要になります。お支払いするお金はどの様に決まるのでしょうか。業者が必要と言った金額そのままで契約するのかというと、違います。住民の皆様からいただいた血税を使うので、そんな恐ろしいことはできません(緊急時等稀に例外はあります)。この契約に必要な適正価格を計算するのが積算です。

例えば「橋脚をつくる工事を発注したい」とします。

寸法から導き出したコンクリートの量、配送筋図から算出した鉄筋の量、地面に橋脚の基礎を埋め込む分だけの掘削、その他仮設等、この橋脚をつくるために必要な材料・作業をリストアップします。例えばこの内コンクリートは、1m3のコンクリートの材料費が〇〇円、コンクリートを現場に打設するのに作業員○人等、各材料・作業に必要な内容を組織の基準として定めており、これをひとつひとつ積み上げていくのが積算です。厳密なことを言えばここに会社の儲け分や運営費等も加えます。こうやって積算を行い、「役所としてはこれくらいかかると思っています」の金額、所謂「予定価格」を算出します。、工事や業務は、受注したい人が「うちの会社なら〇〇円でできる」と言って基本的に最も安い人が受注しますが、予定価格を超えて受注することはできません。しかも予定価格は契約するまで役所の外に情報を出すことはありません。なので「うちの会社なら〇〇円でできる」の〇〇円が予定価を超えていると、受注できません。

この積算ですが、間違えると後々大変なことになる可能性があります(もっとも、間違えると大変なことになり得る仕事は役所の仕事だけでなく、民間も同じかと思いますが…)。

○誤って高すぎる予定価格を算出してしまう→本来設定すべきだった予定価格を超えて契約した場合、差額が税金の無駄になります。

○誤って低すぎる予定価格を算出した場合→正しく積算した業者が予定価格超過として受注できないことになります。

とはいうものの、少なくとも私が所属していた省庁では積算はシステム化されていたので、昔々に比べたらヒューマンエラーの要素は減ったらしいです。それでも後から積算ミスが見つかり騒ぎになることがあります。

積算をするような公務員にこれからなる人は、数字の間違いに気をつけましょう。

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